2000年5月15日掲載
Tina Louise      It's Time For Tina
Urania原盤     1957年録音

 ジャズを聴き始めた時、ヴォーカルは黒人に限ると考えていた。大御所の方々のを聴いたが、その時の 僕の感性では、機械的過ぎるように思えた。数年後、ジャズ喫茶の親父さんが本を出し、予想外の 大ヒット。その中に、この1枚。ジャケを見れば一目瞭然の、イロっぽいティナ・ルイス。文章は 忘れたが、聴かずにはいられなくなる気に僕をさせた。しばくして、復刻レーベルとして光り輝いていたフレッシュ・サウンドがLPで発売。虜になってしまった。その後のCD発売まで付き合ったからね。ティナ・ルイス、女優さんだったっけ。コールマン・ホーキンスがフューチャーされたオーケストラがバックです。

20000515

 1曲目の“Tonight Is The Night”、 バックと一緒に始まる彼女のツゥナァーイって出だしから、甘く、艶っぽい歌声で、どんな 疲れた体も癒される。この曲最後の詩の tonight の t の彼女の口の中で消え去るような発音ま で、絶え間無くこの気分が持続。そこらのお色気歌手だと1曲聴けば十分で、その後の曲は 安っぽいアイスクリームを食べ終った時のようにベタベタした気分になるのだが、彼女には そんなところは一切無し。低音がしっかり出ており、切なさと甘さのある高音が実に生きて いるんだな。“Snuggled On Your Shoulder”“It's Been a Long,Long time”“How Long Has Been Going On”等の曲は僕の中で彼女の歌がインプットされており、他の歌手のを聴いても全て彼女のを思い出してしまうからね。今やジャズに関する文章書きの中では一番の売れっ子の ジャズ喫茶の親父さんに、感謝して止まない作品です。