これはヨーロッパ・ジャズ黄金時代の知られざる名盤だそうだ。ジャズ批評別冊に書かれている星野秋男氏のコメントによると、氏はこの盤を入手するのに15年かかったとのこと。ミヒャヒル・ナウラというピアニストは、ベルリン大学で政治・哲学を学んでいた間に、自己のバンドを結成しました。それはジョージ・シアリングを模倣したものだったのですが、その後モードやフリーを取り入れて、自分のスタイルを築き上げて行き、その一つの頂点がこの作品のようです。アルト・サックスとヴァイブが入った、クィンテット編成です。
「知的かつ力強い明解な演奏」というジャズ批評別冊でのコメントに、うなずけますね。僕なら「素直で力強い明解な演奏」とするかな。まだこの時期は、アメリカのジャズを自分達に取り入れることに、真剣に取組んでいる様子が伺えます。Peter Reinke のアルトと、Wolfgang Schluter のヴァイブの輝く響きが印象に残る、1950年代のアメリカ・ジャズをヨーロッパに舞台を移し替えた好作品です。