フランコ・トナニというドラマーについては、いくつもの文献を当たりましたが、少ない情報 しか得られませんでした。ロマーノ・ムッソリーニ・クァルテットでプロ・デビュー後、様々 なバンドで活躍し、欧州ジャズ・ドラムの第一人者になっていかれた方です。この作品はクィ ンテット編成で、注目はガトー・バルビエリ(ts)とフランコ・アンブロセッティ(tp)の参加で しょう。この頃のガトーはイタリア人妻のミシェルと欧州に移り、ドン・チェリーと活動を共 にしていた時期になります。アンブロセッティは父である名アルト奏者フラヴィオのバンドで 活動していた時期で、初リーダー作を吹込む前年になりますね。若き日の二人のホーンの演奏 も、この盤の興味の一つです。また、プロ・デビュー直後のフランコ・ダンドレア(p)の参加も、 見逃せませんね。
先ず、ガトーは6曲中3曲に参加しており、 アトランティックからインパルスに移る辺りのコルトレーン風。トナニは、堅実な演奏だけど、 ドラムだけの曲以外は目立たずバッキングに徹しています。さて本題。アンブロセッティ、ダ ンドレア、そしてベースのジョヴァンニ・トマソはこの録音の時は23歳。モーガンとバード 風のペット、ガーランドとマッコイが妙に混じっているピアノ、妙に力強いベース。まだまだ 自分のスタイルを確立していないが、明日への大きな期待を抱かせる若々しい演奏を繰り広げ ています。本当に好きだな、こういうの。