“Deep Down”がピエラヌンツィの名を知らしめた作品ならば、これはその人気を一気に高めた作品です。 僕のピエラ目覚盤“Don't Forget The Poet”に、この作品のタイトル曲も収録されています。Hein Van de Geyn(b)、Andre Ceccarelli(d)とのトリオ作品で、Hein Van de Geynは目覚盤にもプロデューサーを兼ねて参加しています。シンプルと言うと洗練された印象ですが、単純なジャ ケット、さてその中身は。
“Deep Down”での甘く美しくも凛々しいスタ イルが、更に一層磨きが掛かっています。ウェイン・ショーター作の“footprints”も、完全に ピエラヌンツィの世界で別の姿を見せてます。もう一つの魅力が、曲作り。もうピエラ節と言える 幹がジャズという大木に、太く大きく育っています。タイトル曲に心奪われるのですが、他にも “l'heure oblique”“what you told me last night”等も、今後ジャズ界の名曲になっていくことでしょう。聴く前は単純に思えるジャケットも、聴き終えるとピエラヌンツィの音楽を、どこまでも深い海に喩えた、センスの良いという印象に変りました。