2000年3月8日掲載
David Murray      Long Goodbye
DIW原盤         1996年10月録音

 ドン・ピューレン亡き後に吹込まれた作品で、ピューレンへの追悼作品になっています。本来ならジョージ・アダムスが吹込みべき作品ですが、それは無理な話ですね。マレイとピューレン、実はそんなに多くのレコーディングはありません。1977年の“low class conspiracy live vol.1、2”、これはクィンテットでのライブ盤です。1984年の“children”、ここでは1曲だけの参加です。1991年の“shakill's warrior”、ここではオルガンを弾いてます。1993年のこれまたオルガンでの参加の“shakill's Ⅱ”が、ピューレンがマレイ作品へ参加した最後のもので、都合4セッション5枚ということになります。マレイ作で取上げられたピューレン作の曲は“songs from the old country”“in the spirit”“at the cafe central”“milano strut”“the sixth sense”“one for the don”“1529 gunn street”の7曲で、オルガン作品に収録されています。こんな付き合いピューレンへの追悼作品にマレイが用意したピューレンの曲はこの7曲からではなく、“gratitude”“resting on the road”“el matador”“common ground”の4曲です。で、選んだピアニストはマレイのリーダー作では初共演の、そしてピューレンの愛弟子のD.D.ジャクソンです。Santi Debriano(b)、J.T.Lewis(d)というこれまた初レコーディングになる方々と一緒の、クァルテット作品です。

20000308

 DIWなので日本語解説。寺島氏が書いてます。 アダムス・マレイ・ピューレン達の音楽について「昔からのファンは恐らくこのグループのメロ ディ性についてはあまり深く考えたくないだろう。・・中略・・アダムス~マレイのフリーキー・ トーンがこのグループの全てなのだ」と書かれている。とんでもないよね。この3人、そのメロ ディにみんな惚れているんだよね。もちろん3人のフリーキー・トーンは、そのメロディ性を活 かすための、其々の個性的な表現手段なのだ。その意味でこの作品、ピューレンの朗々として、 そして悲しげなメロディの世界を、マレイならではで表現しています。ジャクソン、ピューレン の後継者などという言葉は別にして、精神性はまさにピューレンに通じるものがあります。ヒッ クス、バレルと今までマレイが組んできた素晴らしいピアニスト達に、このジャクソンが加わっていくことでしょう。ピューレン追悼という意味合いを一切抜きにしても、クァルテット作品として重厚な味わいのあるものになっています。