前年のジャズ・フェスティバルで特別編成されたこのユニットは、評判が良かったようですね。 ここにスタジオ録音盤が、登場しました。前作というか初作では長尺で、全編即興演奏がその内容でしたが、スタジオ製作ではどのような変化があるのかがポイントでしょう。
ここでメンバーの一人、ジュリ アス・ヘンフィルについて少し紹介しましょう。1938年生まれの彼は、1950年代にテキサスの多くのバ ンドで演奏した後、リンカーン大学で音楽を専攻しました。1965年にWSQのメンバーのオリバー・レイ クと知合い、1968年にはレスター・ボウイとレイクと一緒にBAGというグループを結成し、1972年ま 活動していました。その後ヨーロッパで活動し、1974年にNYに進出しロフト・シーンで活動し始めました。そこで注目を集めた時期に、このWSQの結成に加わったのです。
マレイのバス・クラがリズムを刻む “steppin'”、ブルーイットのバリトン・サックスの“p.o. in cario”が良いですね。低音域がしっかりしている上で、他の3人が自由自在に飛びまわっています。この呼吸感はロフト・シーンでの熱さを感じ させるものであり、その意味で前作の流れに沿って、スタジオで綿密に作られた作品と言えます。裏ジャケ に4人それぞれのポートレイトがあるのですが、その目が素敵ですね。ジャズという音楽で、何かを成し遂げてやろうという思いが、音と共に伝わってきます。