2000年3月30日掲載
World Saxophone Quartet      W.S.Q.
Black Saint原盤                    1980年3月録音

 1979年は吹込みを行なわなかったWSQですが、人気者になっていった4人が揃うのは難しかっ たのでしょうかね。ここでは、1年の空白がこのユニットにどのような変化をもたらしたかが、 興味のポイントでしょう。収録曲はとしましては、1978年に初披露され、マレイが1991年のリーダー・セッションでブランフォード・マルサリスと吹込んだ“fast life”が、ここで披露され ています。

 さて今日は、オリバー・レイクについて少し触れましょう。1944年とも1942年とも1949年とも言われているのですが、その辺りの時期に彼は生まれました。セントルイスで育ち パーカッションを演奏していましたが、1960年にアルトを吹き始めました。ヘンフィルとBAGやヨーロッパで活動し、1974年以降はロフト・シーンの中心的人物になりました。多彩な活動 をする人で、このWSQの他に、レゲエのジャンプ・アップというユニットでも活躍していた そうです。

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 まぁ、オーソドックスな4ビート・ジャズしか聴かない人は、WSQには手を出さないだろうな。ヨーロッパでのリズムのとれないフ リーが好きな人には、前2作は好ましくあり、また少し物足りないかもね。欧州リズム無しフ リーは肌に合わないが、ロフト・シーンには魅せられている人(自分のことですが)にとっては、このユニットでアンサンブルを強固にしていくのを期待するでしょう。ここに、その姿をを 彼らは提示しました。3人が息を合わせ、一人が飛び回る演奏です。“suite music”での展開 はその見事さを表しており、このユニットの可能性を存分に感じさせます。全体的にこれは 言えることです。その世界があるからこそ、“connections”での1人演奏に存分にスペースを割いたのが、新鮮に響きます。ブルーイットのバリトン・サックスに続くマレイのテナーには、うっとりとしてしまいます。余談ですが、この作品からユニット名にThe が付かなくなりましたよ。