1960年代にはジャズ・ロックやソウル路線で人気を博し、1970年代には“ブラック・バード”の大ヒットを飛ばしたドナルド・バードですが、今でも人気があるのは1950年代のハード・バップ期でしょう。特にジャズ・メッセンジャーズに在籍していた1955・1956年が、ハード・バップ・トランペッターとしてのバードの、最良の時期だと思っています。この時期に超マイナー・レーベルであるトランジションに、彼は3枚の吹き込みを行いました。これはその中の1枚で、デトロイトにある New World Stage でのライブ盤です。Yusef Lateef(ts)、Barry Harris(p)が参加している、セクステット編成です。
音質が悪いのよ。トランジションの他の2枚、“ビー コン・ヒル”と“バーズ・アイ・ビュー”は、10年前に東芝EMIから復刻されました。ただこの作品は、後になって日本のノーマから復刻発売され僕はそれを持っているのですが、センター・ レーベルには delmark のロゴが入っています。トランジションのカタログの中で、これとサン・ラの作品は、デルマークに権利が渡ったようです。そんなことが音質の悪さに関係あるのか分かりませんし、オリジナル盤で聴けば良いかもね。さて内容、熱きハード・バップなのですが、ユセフ・ ラティーフの演奏時間が長く、また内容も最も充実しています。ラティーフに主眼を置いて聴くべき作品です。