ピアニストのディック・カッツは1946年に除隊後、マンハッタンで作曲法と音楽理論を学びました。その後テディ・ウィルソンから学ぶなどした以降は、数々のミュージュシャンとの共演を重ねてきました。この作品は71歳での吹込みになりますが、 Steve Laspina(b)とBen Rilet(d)とのトリオを基本に、Benny Golson(ts)とRyan Kisor(tp) が曲により参加しています。タッド・ダメロンやコルトレーン等の曲も収録されていますが、やはりカッツのオリジナル4曲が目玉でしょう。編曲にも秀でた方なので、ホー ンの扱い方も、この作品の興味の一つでしょう。
冒頭のカッツ作のタイトル曲。即興的なピアノ・ソロから入り、モードの展開で進み、ホーン2本だけのアンサンブルな どの仕掛けを用意しています。この考え抜いた展開は楽しめたのですが、後に続く曲も同様な、頭脳プレーになっています。ピアノ・トリオでの演奏も用意されているのです が、頭でっかちになってますね。最後のベースとのデュオで演奏された“Mr.P.C.”のような、ガムシャラな演奏を多く配するべきでしたね。