2000年2月13日掲載
Jacintha          Autumn Leaves
Groove Note原盤   1999年10月録音

 フィリピン出身の女性ヴォーカルのジャシンタについては、ここの掲示板で話題になったことで、初めて僕は知りました。中国人で歌手兼ピアニストの母親と、インド人でギターとベースを弾く父親の影響でジャシンタは幼いころから音楽に接し、17歳の時にその才 能に世間の注目が集まったそうです。1983年に初めての作品を発表し、日本でも日野皓正のゲストして2度ツァーを行なうなどの活躍をしてきました。このグルーブ・ノートに、 1997年にベン・ウェブスターに捧げた作品を吹込み、評判になったのです。ここでは、 ケイ・アカギ(p)やテディ・エドワーズ(ts)が入ったコンボをバックに、ジョニー・マーサーの作品を11曲歌っています。

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 ジャズを枚数多く聴いてくれば、スタンダー ドと言われる曲は、そのホトンドのメロディが頭にインプットされていますよね。しかし、 その曲名はと問われたら、なかなか浮かばないのでは。題名は覚えていないと、表現した方が正確かな。ましてやその作者となりますと、ほぼ全滅かな。当然これは僕のことですが、このような方も多いのでは。この作品で、今まで耳に慣れ親しんだ曲が、ジョニー・ マーサーの曲だったのかと改めて知りました。作品集っていうのは、そんな利点もありますね。さて主役のジャシンタ、押えた可愛らしさに惚れてしまいますね。しかもしっかりと、 低音が出ています。歌唱力の高さのなせる技ですね。“moon river”での最初の2分半の独唱などは、まさにこの点が光っています。全体的にバラッドが多いのですが、 “something's gotta give”のようなアップ・テンポの曲が多ければ、もっと作品にメリハリがついたでしょう。マーサーの曲は、しっとりしたのが中心なのでしょうかね。ところでベンに捧げた前作なのですが、買ったことは記憶しているが、どこにあるか分からない状況です。一刻も早く見つけ出したいです。