SJの広告に掲載されていた印象に残るジャケ写があったのですが、先月に渋谷のユニオンで見つけて、これを買いました。しかし、作品違いでありました。山岳風景は同一だったので、 いたしかたないのですがね。この作品は、Florian Trubsbach(as,ss)、Jurgen Seefelder(ts,ss)、 Roman Schwaller(ts)、Thomas Zoller(bs)という、サックス奏者4人のユニットです。1曲を除いた全ての曲をトーマス・ゾラーが作曲をしており、内ジャケにバリトン・サックスを持った人の写真だけがあることから、ゾラーがリーダーなのでしょう。欧州のWSQという趣ですが、ジャ ケットのように雄大な山岳の美しさと厳しさが期待できますね。一方で曲名の付け方から、フ リー系かとの心配もありますがね。スイスのレーベルの作品です。
印象に残った曲が“profile of jackie”です。これはミンガスの曲で、他のゾラー作の曲はそこそこの出来なのですが、サックス4本だけというフワァフワァした部分のイメージが強いこの編成では、物足りなさが残ります。 演奏はゾラーのバリトンがリズムを確保しながら他のサックスが絡み合っていく展開なのです が、綺麗なアンサンブルが前面に出て、強烈な個性を発揮する場面が弱いです。WSQの諸作と比べれば、曲と演奏自体の弱さが際立ちますね。個々の曲に注目すれば、清流の美しさが聴き取れますので、選曲次第ではこの特徴を充分活かせると感じました。フリー系では無かったのですが、逆にその刺激性が少しでも加わっていれば良かったのですね。