ケニー・ワーナーの新譜です。彼を僕が意識したのは、これまた最近出たジョージ・ガゾーン(ts)の新譜でのワーナーの演奏からでした。ジャケを見ると40代後半ですし、話では昔から一線で活躍されているピアニストらしいですね。Drew Gress(b)、Billy Hart(d)とのトリオを基本線に、数曲にホーンやバイオリンが参加しています。ワーナーのオリジナル曲を中心に収められこの作品、メジャー・レーベルから発売されています。
この作品を聴く限り、ケニー・ワーナーが一番力を入れているのがアレンジというか構成でしょう。しかしそこに力を入れる 余り、ピアニストとしての彼の魅力を出すのを阻害している場面が多く見受けられ、彼の良さが点在してしまってます。美しさの“beuaty secrets”“you make me sing”、力強さの“jackson five”、華麗で粋な“bumper jumper”というように、その曲の中でちら ほら彼の魅力が聴けます。これらが集まった演奏が“little appetites”でして、ここでは他の曲にあるあくの強い構成がなく、素直な演奏なのです。この手の演奏を多くすれ ば、彼のピアニストとしての魅力を発揮した作品になるでしょうし、僕はそちらを望み ますね。