前作の “Jazzosaurus Rex”の翌日に吹込まれた作品で、メンバーも同一です。今回の作品のテーマははっきりしていて、偉大なサックス奏者に捧げる内容です。レスター・ヤングに “Lester Leaps Ln (Lester Young)”、ロリンズに“St.Thomas (Sonny Rollins)”、パー カーに“Billie's Bounce (Charlie Parker)”、チャーリー・ラウズに“Bright Mississippi (Thelonious Monk)”、スティットに“Broadway (Bird,Mcrae,Woode)”、コ ルトレーンに“Central Park West (John Coltrane)”という具合です。曲としてはビッグ・ バンドで取上げたことのあるロリンズのヤツと、スペシャル・エディションで演奏したことのあるコルトレーンのが、注目どころでしょうか。コルトレーンの曲をマレイがリー ダー・セッションで取上げるのは6曲目になりますが、今回は地味な曲を取上げましたね。 それと嬉しいのが、ラウズに捧げる演奏を行なっている点。過少評価されているラウズに 注目しているのが、好きですね。
前作同様に光った演奏はバラッドです。唯一の バラッド曲であるコルトレーン作の“Central Park West”で聴けるプレーで、マレイの歌心を堪能出来ますよ。そして前作との違いは、他のアップ・テンポの5曲におけるメンバーの演奏の充実ぶりです。前作ではマレイに合わせて無理に性急な弾き方をしていたヒックスも、ここではにこやかに飛ばしたピアノを聴かせてます。ドラムもベースも快調で、このセッション二日目で息が合ってきたのでしょう。プロデューサー側が考えた、 誰々に捧げるというテーマで用意した曲を、その意思とは反して思いっきりぶっ飛ばしたマレイの演奏が楽しめる1枚です。