2000年1月23日掲載
David Murray      Jazzosaurus Rex
Red Baron原盤    1993年8月録音

 マレイがこの時期に作品を吹込んでいるDIWレーベルが、この前年にアメリカのソニー・ミュージック・エンターテイメントと契約し、アメリカでもDIWのマレイ作品が発売されるようになりました。またボブ・シール率いるレッド・バロンというレーベルも、この米ソニーの傘下に入ったのです。これは前年に録音された“Fast Life”の解説に書かれていたのですが、こ れでマレイが何故DIWと契約しながらレッド・バロンへの吹込みを行なったのかという疑問へ の答えが、少しはみえてきました。そんな契約事はさておき、この作品は、John Hicks(p)、 Ray Drummond(b)、Andrew Cyrille(d)というマレイの作品にお馴染みのメンバーが参加している、クァルテット編成になっています。また曲は、3度目の収録になるマレイのお気に入りのエリン トン楽団の“chelsea bridge”等が収められています。ジャケットにおどけた顔をしたマレイが、他の作品には見られないものですね。

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 このレーベルでの前作“MX”同様にリラック スした演奏です。ボブ・シールというか、このレーベルの方針なのですかね。マレイは深いことは考えずに、楽しく思いっきり吹いています。彼の音楽の根本にハード・バップもあるのが伺えるのが、興味深いですね。ハイ・テンポの演奏が多いのですが、そこで繰り広げられている陽気さを持ち込んだバラッドの“chelsea bridge”が、面白い出来になっています。ラフにバラッドを演奏 するマレイも、いいもんですね。ただ気になるのは、音。軽く高音を強調した録音になってます。 このレーベルなら録音に少しは金をかけられたと思うので、残念ですね。