2000年1月20日掲載
David Murray      Body and Soul
Black Saint原盤    1993年2月録音

 いわゆるスタンダード曲を滅多に演奏しないマレイですが、このアルバムのタイトルにつけた“ボディ・アンド・ソウル”はマレイの愛想曲のようです。ここでの吹込みが彼のリーダー 作としては5度目の録音になります。他の演奏曲では、“doni's song”が2度目の吹込みな のですが、他の5曲は初吹込みの曲になります。参加メンバーは過去2度ビッグ・バンドで 共演したSonelius Smith(p)、お馴染みWilber Morris(b)、そしてRashied Aliがドラムで参加 しています。コルトレーン・グループで有名なラシッド・アリとスペルが若干違いますが、 同一人物なのでしょうかね。この久しぶりのクァルテット編成なのですが、一部の曲にヴォー カルでTaana Running が参加しています。

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 ワン・ホーンで思いっきり暴れたかったというのが、マレイのこの作品に対する意欲ではないのかな。ピアノとドラムの人選は、そのマレイの考えにピッタリで、マレイ作の“remembering the chief of St.Mary's”における 刺激的なリズム陣に乗って吹きまくるマレイの姿は、圧巻です。またアリ作の“cuttin' corners”ではサックスとドラムのデュオで、喧騒な街を縦横無尽に駆け抜けるような即興の妙に触れられます。で、タイトル曲。この曲の持つイメージ通りの演奏です。他の曲とのバランスがなく、この曲だけに参加している歌手も、こもった声で大したことなし。恐らくこの 曲を入れたのは、プロデューサーの意図なのでしょう。マレイの意思とかけ離れたこの考え、 ミス・プロデュースの典型でしょうね。