1999年9月8日掲載
David Murray      Children
Black Saint原盤    1984年10月録音

 これまでマレイは何度かギターのジェームス・ブラッド・ウルマーのレコーディングに参加してきましたが、マレイのリーダー・セッションにウルマーが参加するのは、今回が初めてです。ピアノには7年振りにド ン・ピューレンが参加しており、ベースのロニー・プラキシコ、ドラムのマービン“スミッティ”ス ミスとは初競演になります。独特の雰囲気を持つウルマーを起用し、アルバム全体にその効果を出す意図なら分かりますが、ウルマーの参加は4曲中1曲だけ。またピューレンの参加も別の1曲だけ。この辺りがどのようにアルバムに影響しているかが、この作品のポイントでしょう。

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 ウルマーのギター入りの曲は、やはり他の曲とのバランスがとれてなく、ここで言及するのは避けましょう。ロニー・プラキシコのベースの色が、全面を覆い尽くしていますね。時にはアルコで弾く彼のベースが、重く暗く全体を支配しています。マレイにしてみれば、この下地のもとに自分のテナーを活かしつつ、ゲスト参加のギターとピアノの色を加えようとしたのでしょうけど、ベースの重さだけが前に出た作品で終わっています。