アルトのチャールス・マクファーソンは1959年にNYに進出し、ミンガス のワークショップに参加しました。この中でパーカー・スタイルを貫いて異彩を放っていましたね。彼はプレスティッジに6枚のリーダー・アルバムを残していますが、これはその最初の作品です。ピアノにはお馴染みバリー・ハリス、ペットには1枚のリー ダー・アルバムをプレスティッジに残しているカーメル・ジョーンズが参加しています。タイトルからすると、やはりパーカー風の作品なのかなぁ。
パーカーの“si si”、パウ エルの“wail”、ファッツ・ナヴァロの“nostalgia”、タッド・ダメロンの“hot house” と、ミディアムからアップ・テンポのビバップの名曲がズラリと並んでいます。曲は最高のものが用意されているので、焦点は演奏ですね。この時25歳のマクファーソンは、素晴らしいテクニックを、随所で聴かせてくれています。ただどれもパーカー風であって、彼の個性を感じさせてくれる部分は少ないですね。この作品の趣旨に沿った演奏に終始したのでしょうか。ただ本当に素敵な演奏なのですよ。またペットのカーメル・ジョーンズ の演奏が拾いものですね。ホレス・シルバーのレコーディングにも参加しているのですが、彼の名前を聞いてその存在をすぐ思い浮かべる方は少ないのではないでしょうか。力強い 演奏で、マクファーソンに決して弾けを取らないものですよ。1曲だけスロー・バラッド のスタンダード“embraceable you”が収められているのですが、もう1曲この手の作品があれば、全体の流れにメリハリがついてでしょうね。