インタープレイという言葉に触れる場面がありますが、この作品でのビル・エヴァンスのピアノとジム・ホールのギターによる絶妙の相互刺激が、この言葉を流行語にしたそうです。このジャズ・ジャイアンツの二人は、繊細な表現力を持った演奏で世界で人気の高い方で、その二人の素晴らしいこのセッションは名盤の誉れ高いものです。
才能有る人達が練習を積むことで二人の息が 合い素晴らしい表現を行なっていくというのは、演劇やクラシック或いは漫才などの分野では有りうるでしょう。しかしジャズという音楽は即興性が重要な要素の一つであり、この作品でも二人のアドリブが随所に展開されているため、練習を重ねたとしてもこのようなハイレベルな作品は生まれないでしょう。まさに二人の息がピッタリ合った瞬間がこの録音の日であったはずだし、お互い絶好調だとしても他の日に録音を行なっても、ここま で息が合うことは難しいのではないのでしょうか。“my funny valentine”がこの作品で は話に取り上げられるのですが、他の5曲、全てスローな演奏ですが、全てが素晴らしい 出来です。今日は“dream gypsy”での二人の掛け合いに心引かれましたが、聴く日によっては他の曲が至極の気分にさせてくれるのでしょう。永遠にジャズ・ファンに聴かれていく、デュオ作品です。