このレコーディングの注目点というか疑問点が幾つかあります。1981年からこの年までマレイのリーダー・ セッションは、Black Saint と DIWに集中していたのですが、ここでは以前サックス・ソロ・アルバ ムを吹込んだCecmaレーベルへの吹込みであること。次に録音日が不明なこと。1988年の4月の発売ということから推測して、ここでは1987年の録音としました。参加メンバーはペットに2度目の登場になるヒュー・レイギン、ベースにフレッド・ホプキンス、そしてチェロにアブドル・ワドッドが参加 している、ドラム・ピアノレスのクァルテット作品になっています。3人以上の編成でドラムが入っていないセッションは初めてということになります。チェンバー・ジャズ・クァルテットというユニッ ト名称のこの作品、ヒュー・レイギンをもう一人の主人公として扱っているようです。
ベースが基本的にリズムをキープし、サックス、ペット、チェロがそれに絡んでいく。時にはマレイのバス・クラがリズムをキープする、そんな展開の内容です。WSQで実績を重ねた手法をこの編成で応用し、新たな展開を求めたのでしょうけど、全体にフワフワした雰囲気が漂うだけになってしまっています。