1950年代にはリバーサイドから数枚の作品を発表し、1960年代にはアフリカに移住しジャズ・クラブを経営しアフリカを題材にした作品を発表していったピアニストのランディ・ウェストンは、1975年にはNYで再び活動し始めました。その後は欧米各地で主にソロ・コンサートを行なってきたらしいのですが、ダグラスのロフト・セッションにも参加していたので、マレイとは何らかの接触があったのでしょう。しかし一緒のレコーディングはこれまで一切残されてなく、この時にマレイとのデュオ作品を吹き込んだのはどいう経緯なのでしょうね。マレイにとっては、ジョン・ヒックスとの1985年以来のピアノとのデュオ作品です。
恐らくマレイは自分の演奏にマッチする、自分の演奏をインスパイアしてくれるピアノを探していたんではないでしょうか。前作ではデイブ・バレルと、オクテット作品ですが初めて共演していましたからね。さてこの作品、全4曲がミディアム・テンポのマイナー調の曲でして、二人の陰影のあるコラボレーションを期待して選曲されたと思います。しかし、 緊張感に乏しく全体を通してだらけてしてしまってます。最後まで二人の絡みもしっくりしていませんですね。