1999年9月14日掲載
Don Ellis         new ideas
Prestige原盤     1961年5月録音

 高校時代 から自分のダンス・バンドを率いていたトランペットのドン・エリスは、その後にボストン 大学で作曲を学びました。そしてメイナード・ファーガソンのビッグ・バンド等で活動した後、NYでジョージ・ラッセルのバンドに加わり、注目を集めるトランペッターになったのです。この作品はそんな時期に録音されたもので、ジャッキー・バイアードのピアノ、ロン・カーターのベース、チャーリー・パーシップのドラムという豪華なメンバーに囲まれ、更にヴァイブでアル・フランシスという人も加わってます。8曲全てがエリスの自作でありまして、初期のエリスを知ることが出来る作品です。

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 2曲だけ全員で正当4ビート・ジャズを演奏していまして、当然これだけのバックなのですから、ゴキゲンなものになっています。ここだけ聴きますと、伸びやかな新しいトランペッターの登場という感を強くもてます。しかしですね、それ以外の6曲は一般的に言う実験的な曲です。ソロあり、ベースとヴァイブとのトリオ演奏ありで、彼が暖めていたアイディアをぶつけたのでしょう。その中では、トリオで演奏されている“four and three”が面白いデキです。メロディだけとってみたら、JMなら勢いのあるファンキーな演奏になるであろうものなのですが、カーターのベース上でペットとヴァイブが悲しげな演奏を繰り広げています。僕としては、全編4ビー トのゴキゲン・ジャズで繰り広げて欲しかったのです。しかしここでは未消化で終っている実験的なものが、後年のインド音楽を取り入れたり、電気サウンドへ挑戦したり、ロック へ寄って行ったりする出発点なのでしょう。