1940年代初頭からジャズ・ピアニストとして活躍しているビリー・テイラーは、1952年からは自己のトリオを率いて活躍していました。プレスティッジにも5枚のアルバムを残しており、全てが基本的にはピアノ・トリオです。この作品は3作目で、ベースは前2作と同様にアール・メイ、ドラムは1作目と同様のパーシー・ブライスで、これにはコンガが入ってます。このアルバムにはコンガのキャンディドが参加しています。彼はキューバ出身で、1952年にアメリカに渡り、このビリー・テイラーやスタン・ケントン等と競演していました。この作品はコンガがオマケ程度か、本腰を入れているかで内容がかなり変るのでしょうね。
コンガが前面参加しています。全ての場面でキャンディドの演奏が聴け、またほぼ全ての曲に彼のソロがフューチャーされています。特に“mambo inn”はコンガの音を聴くためにあるようなものです。ビリー・テイラーの端正でブルージーなピアノはモチロン聴けますが、スチャラカ音の印象が強く残ってしまいますね。しかしキャンディドはジャズ界でのコンガ奏者では最高の人ですから、その演奏自体は文句なしですけど、テイラーのピアノを存分に楽しみたい方には推薦出来ない作品です。