1935年にバ ルセロナに生まれた盲目のピアニスト、テテ・モントリューのごく初期の、恐らくは最初のリーダー・ アルバムだと思います。エリック・ピーターのベース、ビリー・ブルックスのドラムとの演奏ですが、 “stella by starlight”などのスタンダードや、ケニー・ドーハムの“scandid sky”などのジャズ・ ミュージュシャン作の曲を取上げており、テテ自作の曲はありませんね。日本では1970年代初頭にジャ ズ喫茶での人気ミュージュシャンになった彼の、初期の雰囲気が楽しみですね。
ドラムがうるさいですね。“stella by starlight” では、テテがスローで心地よいテーマを奏でているときは良い気持ちでいられるのですが、テンポを早めた途端ブルックスのうるさい太鼓が、テテのピアノを台無しにしてしまってます。アート・ブレー キーに影響を受けた感じのドラミングですが、センスまでは影響を受けていないようです。それでも、ブラシが主のドラムの時は、そんなに邪魔臭さを感じなくて済みますね。“I guess I'll hang my tears out to dry”では、宝石がテテの右手から零れ落ちてくるようなピアノを存分に楽しめます。もう1曲 テテのアドリブを存分に楽しませてくれるのが、“fly me to the moon”。これはね、アドリブの旋律だけで、1つの素晴らしいバラッド曲が出来あがっていますね。こんなテテのピアノをベースのピーターは好サポートしているのですが、時々邪魔をするドラムが無ければという気に、誰でもなるのではないかな。