1999年8月16日掲載
Paul Motian            Monk&Powell
Winter&Winter原盤     1999年11月録音

 先日渋谷のジャズ屋さんの新譜コーナーでこれを見つけました。モチアンの大ファンでもないので通常なら、これを購入しなかったかも。これはタイトル通りモンクとパウエルの作品集なのですが、モチアンのモンク集をこのコーナーで取り上げたばっかりなので、店主の2日前に入荷したばかりだよとの声にもつられて買ったものです。カート・ローゼンウィンクルとスティーブ・カーディナルスのエレクトリック・ ギター、クリス・ポッターとクリス・チークのテナー、スティーブ・スワロウのベース、そしてモチアンのドラムという編成ですよ。恐らくギターとテナーは曲毎に1人づつ演奏していると思うのですが。 収録曲は、5曲がモンクです。このレーベル特有の重厚さを感じるCDの紙ジャケを手にすると、期待を持ってしまいますね。先日取り上げた作品からちょうど10年経っての録音であり、その間に発表されたモチアンの作品を聴いていないため、モチアンの変化をモンクとパウエルの曲を通して感じ取れればと思っています。

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 予想に反してギター2本とサックス2本は全曲参加しています。またこのバンドはThe Electric Bebop Bandと名づけられていて、多分定期的な活動をしているんでしょうね。内容はですね、ギターとサックスには各曲ソロ・パートを与えられており、また1曲5分前後のため、各ソロが十分な時間演奏が確保されていませんね。バンドとしてのバランスを重視してのことでしょうけど、アレンジもビ・バップの時代を意識したもので、モチアンのドラムが10年と比べれば落ち着いているものですね。まとまりは素晴らしいだけに、もう一つインパクトのある部分が欲しいです。その意味で最後に収録されているパウエルの“parisian thoroughfare”での、呪縛から開放されたかのような各メンバーの飛び出しの良さを、他の曲でも聴きたかったです。定期的に活動しているなら、パーカー作品集やガレスピー作品集も出しているのかな。まだなら、このバンドに前述の味付けが濃くなった演奏を期待したいです。