1999年8月12日掲載
Paul Motian      monk in motian
JMT原盤              1988年3月録音

 ドラムのポールモチアンがサイドで参加したミュージュシャンで思い浮かぶのは、ビル・エヴァンスとキース・ジャレットという偉大なピアニストの作品ですよね。このアルバムの解説を読むまでは知らなかったのですが、モチアンはセロニアス・モンクのグループにも参加していたことがあるそうです。モンクのファンでありながら知らなかったのは恥ずかしいですが、レコーディングが残っていないだけに仕方ないですね。そんな経歴を持つモチアンが、モンクが亡くなってから6年後に、このモンクの作品集を作りました。世の中には数多くあるモンク作品集があるのですが、ドラムがリーダーであるものは他には知らないです。メンバーは1980年代にモチアンの良きパートナーになったギターのビル・フリーゼル、テナーにジョー・ロバーノという、モチアンと気心が知れた人達です。曲によってピアノのジュリ・アレン、テナーのデューイ・レッドマンが参加しています。

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 伸びやかなテナーを聴かせるロバーノ、歪ませたギターを立てに横に響き渡せるフリーゼル、この二人の一見水と油の関係が絶妙の掛け合いを前面的に展開しています。ギターが全体のリズムをキープしている訳ではないので、ベースもいなし、本来ならドラムがしっかりリズムをとってないと、全体的に破綻しそうなもんなはず。しかし、モチアンはモチアンで全面ドラム・ソロのように演奏しているのですよ。なのに破綻しないどころか、しっかりまとまっているのだ。この3人はレギュラーで活動していたらしいのですが、互いの息がピッタリ合っているから出来る技なのでしょうね。モンクの作品に斬新な解釈を・・なて言うより、絶好調のユニットがモンクの作品を見事に料理したという感じですね。10曲中半分が3人だけの演奏で、残りにゲストが参加しているのですが、全体を通して3人で演奏して欲しかった作品です。