1999年7月19日掲載
Dieter Reith     a happy afternoon
MPS原盤       1966年8月録音

 ドイツのピアニスト、ディーター・ライスです。ヨーロッパ・ジャズやピアノ作品が好きな人には知られている人なのですが、僕が知ったのはピアノ・トリオを積極的に聴くようになった昨年のことです。ライスは3枚のリーダー作品を残しているそうですが、これが最もピアニストとしての彼 を直接的に表現されている作品らしいですよ。ジャケットから“時計のライス”という愛称で、このアルバムは親しまれています。

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 最初のタイトル曲の出だしが、ライスというかこのアルバムの魅力を代表していますね。ドラムとベースが激しくリズムを奏でる中で、ライスのピアノが登場します。恋人との待ち合わせ場所に勇んで駆け出すようなピアノが、ライスのパーカッシブな演奏スタイルを物語っています。“酒とバラの日々”も力強いテンポで演奏していて、彼自身の曲にしていますね。でも優しい部分もあります。ピアノ・トリオの定番曲“ジャスト・イン・タイム”では、勢い良くテーマを演奏した後、ホッとするような、しかし緊張感を保っている落ち着いたアドリブを展開しています。この辺りのバランス感覚が素晴らしいライスですが、この録音の後にはフリー・ジャズの道に進んでいったそうです。