1999年6月6日掲載
Klaus Wagenleiter      sweet choice
YVP原盤                1998年5月録音

 クラウス・ヴォーゲンライターというピアニストは、トリオ・コンセプツというグループで何枚かのアルバムを出してきた方です。スイング・ジャーナルの4月号のJAZZ吉祥寺流という宣伝ページで、ジャズ喫茶界の大御所3名が、このアルバムを推薦されています。ピアノ好きには有名なピアニストらしいのですが、僕はここで聞くのが初めてです。名門バークリー音楽院で作曲とアレンジを勉強した43歳のヴォーゲンライターの演奏、5月に購入以降何回も聞いてハマッテいますが、改めてじっくりと聞いてみます。

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 “ミュージュシャンは外に呼吸をするが、役者は内に呼吸をする”、これはロック歌手の矢沢永吉がTVのインタビューでの言葉です。確かにジャズ界でもこの“外に呼吸をする”と思えるミュージュシャンは多いですよね。エバンスなどのように“内に呼吸をする”人も多いですが、両者共に反面の部分も当然持ち合わせています。

 話が最初から逸れましたが、このヴォーゲンライター は、どちらかと言えば内派です。もう少し前面に出す場面があれば良いのですがね。ただしこれはこのアルバムの、唯一の僕の感じた不満点で、本当に素晴らしいアルバムです。 全11曲中、彼のオリジナルが8曲、他のメンバー作の曲が3曲です。これが素晴らしいのですよ。特にタイトル曲と“cleasrwater mountain”は、ひょっとしたらこれから先、 スタンダードになっていく予感を持たせる曲です。落ち着いた雰囲気の中で、豊潤な気持ちを聞く者にもたらせてくれます。2月22日に掲載しましたpete malinverniの“a very good year”と共に、今年を代表する作品!と自信を持って言える作品です。今後はスタ ンダードを取り上げて欲しいですね。彼の解釈の仕方を聞いてみたくてね。トリオ・コン セプツとしてこのレーベルに3枚のアルバムを残しているようなので、入手して聞いてみます。その時は、またここで取り上げますね。