1999年6月5日掲載
Eugene Maslov      when I need to smile
Mack Avenue原盤   1998年6月録音

 今日から5日間連続で、最近買った新譜特集を行ないます。全てピアノのリーダー・アルバムです。このピアニストの名前はユージン・マスロフと発音するのかな。彼が、クルセーダーズのドラマーだったスティックス・フーパーをプロデューサーに迎えて吹き込んだ、トリオ・アルバムです。ベースはエディ・ゴメスですが、ドラムはナンとオマー・ハ キムですよ。太鼓がキー・ポイントになるのかな。このアルバムはマスロフにとっては、アメリカでの第二作ですが、前作はエバンス風だったとか。何だか興味津々のアルバムですね。

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 前半の5曲までは、太鼓がやたら張り切っているがベースとは噛合わず、主役のピアノもフュージン風な演奏で、誉める部分が見つからないものでしたよ。亡くなられた淀川さんはテレビの解説では、どんな映画でも必ず誉める部分をみつけていたそうですが、このアルバムの誉め所はどこかなと、悩んで聞いていました。でもって、6曲目のスタンダード“the man i love”。威勢のいい太鼓 に続いて、ピアノがこれまた元気良く飛び出す。この曲をこんなに盛大に演奏するとは驚いたが、このトリオの個性が良く発揮されています。アントニオ・カルロス・ジョビンの曲を憂いを持って演奏した後、マイルス作の“milestones”に期待を寄せると、いきなりアドリブを演奏し始めましたよ。うぅーん、これはクレジットが間違えているのかな、アドリブ 思って聞いているが、これは彼のオリジナルかな。良いメロディだよな。って考えながら2分経ったところで、“milestones”のテーマが演奏されます。この展開が実にカッコイイ。 気持ち良い思いで聞いていたら、フェイド・アウトし、3分ちょっとで演奏終了、残念。 最後は、彼のオリジナルの“sweet lana”。それまで演奏されたオリジナル3曲はイマサンだったのですが、これはミディアム・テンポのラテン調で、何か昔あった出来事を思い出してしまうようなメロディで素晴らしい演奏です。後半が充実しているだけに、前半が残念で ならないアルバムですよ。