1956年にNYに出てきたピアニストのフィニアス・ニューボーンは、1958年から1959年にかけてドラマーのロイ・ヘインズのトリオに参加しました。このトリオでプレスティジに吹き込んだ“ウィ・スリー”はヘインズの代表作になったばかりか、ニューボーンの代表作にもなりました。そんな彼のリーダーアルバムとしてルーレットに吹き込まれた本作品は、ドラムにヘインズが参加したピアノトリオです。収録されている曲は“スター・アイズ”“ゴールデン・イヤリングス”“イッツ・オール ライト・ウィズ・ミー”等など、お馴染みの10曲が並んでいます 。
名曲ばかりなので、落ち着いて聞いてられます。右手での高音部のシングルトーンが最初に飛び込んできますが、じっくり聞けば左手での低音部の演奏が実に充実しています。パウエル系のピアニストは右手重視、というか低音部を軽視する人もいますが、彼は左手も右手と同様に素早い動きです。そのことが高音部の演奏をいっそう盛り上げていますよ。このアルバ ムの注目点は、やはりというかドラムのヘインズですぞ。スティックもブラシもビシッと決まっていて、何とも言えませんな。凄いテクニックで名曲をさらりと聞かせる、心憎い作品ですよ。