ピアノのクリス・アンダーソンは幼少の頃から体が弱かったのですが、ピアノを勉強し始めてから1年経った19歳の時に失明し、その後並々ならぬ努力でピアノを勉強したそうです。 同じシカゴ出身のグリフィンやウィルバー・ウェアの助力で、1961年にはNYに進出できまし た。このアルバムはその前年にヴィー・ジェイに吹き込まれたのですが、長年発売されないでいました。10年ほど前に日本では発売されたのですが、本国アメリカでは未だに発売されていないとか。曲はスタンダードが中心で、ドラムにアート・テイラーが参加しています。
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解説によれば“アンダーソンのスタイルはガーランドとジャマルの中間的なもので、それにジョン・ルイス,ケリー,エロール・ガーナーの味を加味したような趣”だそうである。確かにミディアム・テンポの明るい曲では快調な演奏で、解説のような特徴が出ています。まぁ、この部分だけでも、“知られざるピアニストのおしゃれなトリオ・アルバム”とういうコピーもうなずけます。しかし僕はスローのタイトル曲、マイナーな“ソー・イン・ラブ”、ソロでの演奏の“ラブ・レターズ”に興味が沸きました。彼自身これらの曲に、創造力が沸いてくる人のように感じるのですよ。しかし、その創造力を表現する手段を見つけられないで、もがいています。でもこの苦悩する感じに、彼自身を感じて、面白いですよ。