ピアノのロンネル・ブライトは海軍バンド在籍中にジャズに興味を持ち、除隊後はNYに進出し、やがて自分のトリオを率いて活動していました。彼がシーンに浮上したのは1958年にサラ・ボーンの伴奏者になってからでした。このアルバムはサラのバックとして訪欧中にパリで録音されたトリオ・アルバムです。素晴らしいミュージュシャンでありながら、録音のチャンスを得られなかった人は沢山います。ブライトはパリで得たこのチャンスで、しっかりと自分を表現しているかが、聴き物ですね。
“chasing sarah”という曲は、実に楽しい曲調ですね。サラの伴奏者として演奏の機会と世界各地を周れる喜びを、表現しているのかな。彼のピアノ・スタイルは、オスカー・ピーターソン張りの早弾きの1面も聞かれますが、基本的にはブルース・フィーリングに根ざしている人です。全体的に明るい仕上がりになっているのですが、ブライトのペダルの使い方が上手くて、強調する場面や、さっらと流すところなど効果的になっています。またベースのリチャード・デイヴィスが、ピアノにまとわりつくような演奏で、まるでブライトと会話をしているようです。ブライトのこの録音へかける情熱がメンバーを惹き付け、好盤になっています。