“いまなお全ジャズ・ファンが探し求める、ピアノ・トリオの最高傑作”だって。発売元の宣伝文句なのですが、いくら売らんかなでも言い過ぎでしょうよ。
ジミー・ジョーンズはギターからピアノに転向した人で、1947年から1952年までサラ・ボーンの伴奏者でした。麻薬禍での活動停止の後、1954年にまたサラの伴奏者に戻り、彼女のヨーロッパ・ツアーでの際に立ち寄ったフランスでこのアルバムが吹き込まれました。とするとベースのジョー・ベンジャミンとドラムのロイ・ヘインズも、彼女のバックだったのかな。まぁ、大袈裟な宣伝文句は気にしないで聞いてみます。
ロイ・ヘインズのドラムが良い。何がと言えばブラシですよ。1954年とは思えない録音の素晴らしさも手伝って、全編通して彼のドラムの冴えに耳が奪われてしまいました。ジョーンズのピアノはテーマ・メロディを弾く部分は、綺麗な演奏で大変良いのですが、アドリブでは単調になってしまう場面が見うけられますね。“イー ジー・トゥ・ラヴ”“リトル・ガール・ブルー”“ラッシュ・ライフ”“スクィーズ・ミー”というお馴染みの曲で、ジョーンズが弾く楽しいメロディと、ヘインズのブラシが思う存分楽しめます。彼のピアノはトミ・フラのような感じですが、年齢から考えるとトミ・フラにジョーンズが影響を与えたのでしょうね。