1999年5月4日掲載
Jackie McLean      strange blues
Prestige原盤      1957年2月録音

 1950年代から現在まで、一時期を除いて順調な活動をしているアルト奏者ジャッキー・マクリーンの、プレスティジでの2つのセッションから、後年になって拾い集めてアル バム化されたのが本アルバムです。初めてマクリーンを紹介するのだからもっと素晴らしいアルバムにしたらどうなんだと言うご批判もあるでしょうが、このような後拾遺集に潜んでいるジャズの魅力を紹介出来ればと、思っています。

19990504

 最初に“strange blues”、最後に“not strange blues”というマクリーンのオリジナルが配曲されている。これがこのアルバムの目玉かと思ったら、単に2つのスローブルース。この辺が後拾遺集ならではなのかな。それではと思い、スタンダード“what's new”はどうかと言えば、マクリーンがせっかちな演奏をしていてこれもペケ。では11分のリフナンバーはと聞けば、並程度の仕上がり。このアルバムはこんなもんかと諦めかけ、当時17歳のチューバ奏者のレイ・ドレイパーのオリジナル曲に耳を傾けると、これがまた不思議な感じで良いよ。 聞いた事のあるようなマイナー・メロディーだが、耳に残るんだな。ドレイパーはリーダー・アルバムにコルトレーンが参加していたため知っていたが、そこでは朴訥な演奏な がらふんわかした中で、口ずさみたくなる曲と演奏を聞かしてくれました。うん、ここでもその感じが充分ありますぞ。ドレイパーの後に続くアルト、ペット、ピアノも彼に影響されて好プレーの連続。この“disciples love affair”1曲に、このアルバムの存在価値があります。