テナーのフィル・アーソは1947年にNYに進出し、エリオット・ローレンスのビッグバンドを皮切りに、数々のビッグバンドに参加して来ました。ただ彼のソロが聞けるアルバムは、これを含めて数枚のリーダーアルバムと、サイドとして参加したチェット・ベーカーのアルバム位で、そのスタイルは典型的な白人テナー奏者ということです。このアルバムは三つのセッション、バルブ・トロンボーンのボブ・ブルックマイヤーとピアノのホレス・シルバーとのクィンテット、ピアノにウォルター・ ビショップ・Jrが加わったカルテット、そしてオルガンとのデュオです。アーソの音色と共に、どのセッションが良いかが楽しみです。
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ある本によれば、“アーソのテナーの高音部はアル・コーン的で、低音部はスタン・ゲッツ的でややクールな演奏”だとか。この時代の白人テナー奏者は互いに似た演奏したスタイルの人が多く、その中で頭角を現すには、コーンやゲッツのように一つ抜きん出た個性が必要なんでしょうね。 まぁ、白人テナーに限った事ではないですけど。このアルバムに話を移すと、オルガンとのデュオが無ければ良いのにね。どーってことのないオルガンをバックにしたアーソのテナーは、オルガンのダラダラに引きずられて、だんだんだらけてきます。他の二つのセッションが快調なだけに、オルガンセッション抜きでアルバムを構成すれば、もしかしたら彼の名を有名に出来たかもしれないですね。