僕のフェイバリット・テナーのジョージ・アダムスの代表作です。1973年にミンガスのグループに起用され注目を浴びた彼は、ピアノのドン・ピューレンと一緒にアルバムを吹き込んでいき、1979年にドラムにミンガス楽団で一緒だったダニー・リッチモンド、ベースにキャメロン・ブラウンを加えた不動のカルテットを結成しました。このアルバ ムはそんなカルテットでの、素晴らしいアルバムです。私見ですが、1970年代から1980年代は、彼とデビッド・マレイのテナーがジャズ界を支えていました。
このカルテットの魅力の一つして、1950年代のハードバップをしっかり自分の物にしながら、1960年代後半から1970年代 前半に吹き荒れたフリージャズを通過した彼らが、それらを消化した上で、自分達のスタイルを作り上げたことです。そう言った意味でこの時代に存在すべくして存在したバンドと言えるでしょう。“magnetic love field”はアダムスとピューレンのデュオなのですが、フリージャズを自分の物にしながらしっかり自己主張し、聞かせる術を心得たものになっています。もう一つの魅力として、実にメロディアウスな面があることです。彼らの代表曲である“saturday nite in the cosmos”で聞かせるアダムスの フルートでのテーマが良い例ですね。更にアダムスとピューレンが独特の演奏スタイルを持っていることです。ピューレンのパーカッシブなピアノ、アダムスのテナーの限界に挑戦するような高音の連発などは、その一つですよ。このアルバム、そんな魅力が満載になっています。