1950年代末にNYに進出したトランペットのフレディ・ハバードは、あっという間に注目される存在になり、それはブルー・ノートへの初録音が初リーダー作ということが証明しています。彼にとって3作目のこのリーダー作、トロンボーンにジュリアン・プリースター、ピアノにシダー・ウォルトン、ベースにラリー・リドレーといった当時の気鋭ミュージュシャンと吹き込んでいます。これにジミー・ヒースのテナーを加え3管編成になっており、この後新主流派の動きの中心的存在になっていくハバードの代表アルバムということで、アンサンブルに注目して聞いていきます。
解説本によれば、ハード・バップ期のブラス・アンサンブルは3度、5度といった単純平行的に旋律が移動するハーモニーを用 いているのに対して、新主流派の演奏はむしろ逆行するラインを中心としたハーモニーになっているそうである。1960年代はこのような演奏が主流を占めていくのですが、 今ハードバップ期の演奏を聞いても演奏自体には古さを感じませんが、この新主流派の演奏には古さを感じてしまいます。現在のジャズはやはりハードバップに基本を置いて、新主流派やその他の形態を消化したもになっているからでしょうか。話をこのアルバムに移すと、前述のハーモニーとハバードの生き生きとしたペットの響きに、彼のオリジ ナル曲のメロディーラインがピッタリと合い、傑作になっています。このアルバム以降、この手のハーモニーを採り入れるミュージュシャンが増えて行き大きな流れになりま すが、今でも発売され続けるアルバムがそんなに多くない事を考えると、この方法を物に出来たミュージュシャンが少なかったのでしょうか。