ハード・バップ全盛の時にブルー・ノートやプレスティジを中心に膨大なセッションに参加した名ドラマー、アート・テイラーのアルバムです。彼のリーダーアルバムは知っている限りでは3枚です。これ以外はテイラーズ・ウェイラーズとテイラーズ・テナーズで、どれも良いアルバムです。テナーにスンタンリー・タレンタイン、ピアノにウィントン・ケリー他を迎え、ジャズマンのオリジナル6曲を収録しています。彼のバッキングを中心に聞いていきます。
A面の3曲に注目します。コルトレーン作の“シーダス・ソング・フルート”は、テイラーのシンバルワークのバッキングが冴え、タレンタインの素晴らしいテナーソロを引き立ててます。モンクの“エピストロフィー”では、少し短めですがテイラーのドラムソロが気持ち良く披露されてます。ただコンガが邪魔になってます。テーマでのコンガは良い効果を出していたのですけどね。ドラマーであるデンジル・ベスト作の名曲“ムーヴ”では、デイブ・バーンズのミュートトランペットとテイラ ーの絡みでのテーマとエンディングがアップテンポなこの曲の特徴を上手く表現しています。 またケリーのピアノソロが高音を書け周るような感じで、熱演しています。全体を通しては、リーダーであるテイラーのドラムがでしゃばらず、このことが他のメンバーの素晴らしい演奏を引き出しているアルバムです。