アルバムの邦題が収録曲の1つ、“ジェリンコの戦い”になっている通り、この曲での名演奏で有名な、ビレッジゲイトでのライブ録音盤です。リーダーのテナー奏者コールマン・ホーキンスは 1930年代から活躍しており、ビ・バップやハード・バップなどのジャズの変革にも、重要なリーダーとしてジャズ界を引っ張ってきた方です。ピアノにトミー・フラナガン、ベースにメイジャー・ホリー、ドラムがエディ・ロックという、この時までに4年間活動してきたレギュラーバンドでの演奏になってます。“ジェリンコの戦い”はもちろんのこと、他の曲にも注目して聞いていきます。
古い黒人霊歌である“ジェリンコの戦い”では、一度聞いたら忘れられない哀愁のあるメロディーを速いテンポでホーキンスが吹いてます。このテーマで彼の世界に引きずり込まれるのですが、圧巻はベースソロの後のホーキンスのソロです。起伏の激しいフレーズを何度も繰り返しています。これを聞いてコルトレーンを想像するのは僕だけではないでしょう。まさに魂がこもった演奏ですよ。この後のテーマに戻る部分は実に感動的で、発売当時に賞賛の荒らしを浴びた演奏だけのことはありますよ。“オール・シ ングス・ユー・アー”ではアップテンポで演奏し、彼独自のこの曲の解釈が聞かれます。他のメ ンバーではピアノのトミフラが多少元気が無いのが気になりますが、ベースのメイジャー・ホリーが実に素晴らしいバックアップとアルコソロを随所で聞かせてくれてます。