バリトン・サックスと言えば、誰でもすぐ思い出すのがこのジェリー・マリガンですね。 トランペットのチェット・ベーカーと組んだピアノレスカルテットでの演奏が有名ですが、そこでは高音域と低音域の楽器のバランスが非常に良く表現されていました。ここでも、ペットにアート・ファーマー、トロンボーンにボブ・ブルックマイヤー、ギターにジム・ ホールを迎え、ピアノレスで演奏しています。このホーン3本とギターの絡みを中心に聞いていきます。
本当に落ち着いた演奏が、マリガンのオリジナルを中心に収録されてます。曲はマイナーだけで、哀愁に満ちた曲ばっかりです。 ショパンの“プレリュード ホ短調”と“カーニバルの朝”が彼のオリジナルではないのですが、全てこんな感じです。アート・ファーマーのペットが暖かいサウンドで聞こえ、ボブ・ブ ルックマイヤーのバルブ・トロンボーンが軽やかに歌い、マリガンのバリトンサックスがくつ ろいだ演奏を行なってます。この3人のソロとアンサンブルを、ジム・ホールのギターが控えめながらも的確にバックアップしています。で、タイトル曲の“ナイト・ライツ”、ピアノが ホンワカした演奏で全体を包み込む演奏になっています。ピアノレスなのに何故ピアノが入っているかというと、マリガンはこれまでもたまにピアノを演奏していたのです。従ってこの曲ではバリトンサックスはお休みですが。とにかく、心休まるアルバムですよ。