1999年2月27日掲載
Ray Bryant      alone at montreux
Atlantic原盤     1972年6月録音

 このアルバムは何か新しいことを始める時に、必ず聴くようにしてます。これはピアノの レイ・ブライアントの、モントレージャズフェスティバルでのピアノソロでのライブ録音です。 彼は1950年代から活躍し、幾つかの名盤もこの時までに残して来ていたのですが、このようなお祭りで注目を浴びるほどの知名度はありませんでした。この時もジャズ界の大スターのオスカー・ピーターソンが急に出演出来なくなり、代役で彼が演奏したものなのです。彼はこれが一世一代のチャンスと分かっていたのでしょうね、短時間で考えられるだけのアイディアを用意し、演奏に望みました。結果的にこの日の演奏で、彼はスターの座につきましたよ。内容については、明日詳しく書きますのでお楽しみに。

19990227

 最初の曲“gotta travel on”がこのアルバムのハイライトでしょうね。アップテンポのブルース調の曲を、左手で力強いコードを刻み、右手で訴えかけるようにメロディを弾いています。一つ一つの音に全神経を集中し、徐々に盛り上げていく展開になってます。フェスティバルの観衆はお目当てのミュージュシャンではないため、演奏前は息抜き程度の気持ちで聞こうとしていたところ、この素晴らしいピアノソロに接し、演奏後はものすごい拍手が鳴り響きました。これで観衆を掴んだ彼は“cubano chant”、“little susie”等の彼のオハコ曲を立て続けに演奏し、この年のフェスティバル最高の演奏になりました。大きなチャンスに全力で向かって行ったこの演奏、大好きです。