好きな女性ジャズシンガーとして、このペギー・リーをあげる人は多いのではないかな。また 1940年代から半世紀以上のキャリアがあり、数々の吹き込みを行なっている彼女の代表作として、9割以上の人が本作品を上げるだろうな。そんな名盤ですよ。
どこが良いかと言えば、まずペギー・リーの声ですね。これは歌い手にとって大きなポイントですもんね。ハスキーであって、繊細な表現力があり、リズムへの乗り方が素晴らしいです。また2年の間隔を置いた2つの録音を1枚のアルバムにしてあるのですが、全体の構成が見事に決まってます。最後に選曲の妙。タイトル曲のブラック・コーヒーは、珈琲の苦味と失恋の心の傷をオーバーラップさせた歌ですが、彼女のハスキーボイスが切なさを痛いほど伝えてきます。ビリー・ホリディの名唱で有名なイージー・リヴィングは、 “私にはあなたしか居ない”とひたむきに歌うラブ・ソングを、心をこめて歌い上げてます。ジャズボーカルに興味がある人には必聴のアルバムですね。