1999年3月26日掲載
Sonny Criss      this is criss
Prestige原盤      1966年10月録音

 1960年代前半のヨーロッパ生活からアメリカに戻って来たアルト奏者ソニー・クリスは、 プレスティジに数枚のリーダーアルバムを録音し、1968年にニューポートジャズフェスティバルに出演後、ノイローゼのため演奏活動を6年間中断しました。プレスティジへの吹込みでは、“アップ・アップ・アンド・アウェイ”が人気盤なのですが、ピアノにウォルター・デイビスを迎えたこのアルバムには“ブラック・コーヒー”“スカイラーク”等が収められており、どうクリスが料理しているか、非常に楽しみです。

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 クリスのアルトはパーカー直系と言われるだけあって、明るく伸びのあるトーンで高音から低音まで縦横無尽に吹かれます。まぁ、パーカーより庶民的なところが魅力でしょうね。このアルバムは7曲収録されてますが、一番は8分近く演奏されている“ブラック・コーヒー”でしょうね。スロー・バラードを切なく吹くアルトが印象的です。また“サンライズ・サンセット”では、ピアノのデイビスが弾くテーマの上を、クリスのアルトが悲しく吹かれていて、3分弱で演奏が終るのが惜しくなる名演を繰り広げてます。この録音の2年後に沈黙に入るのですが、70年代半ばに見事な復活を遂げています。