1999年3月25日掲載
Horace Silver      doin' the thing
Blue Note原盤      1961年5月録音

 ハードバップを語る上で欠かせないのがアート・ブレーキーが率いたジャズ・メッセンジャースですが、このピニストのホレス・シルバーはそこで音楽監督を務めていました。しかし大きな成果をもたらしたものの二人の蜜月はすぐ終り、シルバーは脱退しました。バンドのメンバーの中にシルバーを支持する者が多く、ほとんどがシルバーと一緒に行動し、彼はレギュラークィンテットを結成しました。メンバーの変動はあったのですが、7枚 ほどアルバムを発表し、その評価はどんどん上昇したのです。そこでライブ録音の話が持ち上がり、“ヴィレッジ・ゲイト”で録音されたのが本作品です。トランペットにブルー・ミッチェル、テナーにジュニア・クック、ベースがジーン・テイラー、ドラムがロイ・ ブルックスのこのアルバム、バンドとしての絶頂期の演奏を楽しみます。

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 ミッチェルとクックのホーン2本を迎えてシルバーのバンドは2年演ってきているだけあって、全体の息がピッタリ合った演奏になっています。4曲収録されているのですが全てシルバーのオリジナルで、しかも全てこのアルバムが初録音です。きっとこの日のライブ録音は以前から決まっていて、何度もライブ演奏していたのでしょうね。曲調はスロー無しの構成で、シルバーの構成がよりはっきり出ています。人気曲は“フィルシー・マクナスティ”なのですが、僕はミディア ムテンポの“キス・ミー・ライト”が好きです。悲しげなクックのテナーソロ、訴えかけるようなミッチェルのペットソロ、そしてシルバーのホーンライクなピアノソロと、このクィンテットの全てを満足できる内容になっています。