テナー奏者のハンク・モブレーは、イモだB級だと言われながら多くの人に愛されているミュージュシャンです。その彼の代表作がこのアルバムであり、もう一つの代表作“ソウル・ステーション”の後にトランペットのフレディ・ハーバードをメンバーに加えて、吹き込まれました。ピアノはウィントン・ケリー、ベースはチェンバース、ドラムはブレイキーです。6曲中5曲がモブレーのオリジナルであるこのアルバム、皆に親しまれたテナーの音色を楽しみながら聞いてみます。
ハード・バップの楽しさを存分に味わえる傑作です。最初のタイトル曲でのモブレーの、照れながらも心情を告白するようなソロを聞いただけで最高の気分です。以前漫画で、チャーリー・パーカーに心酔し他のアルト奏者をバカにしている人が、実際に自分でアルトを練習してみると、バカにしていた人達が神様に思えてきたというのがありました。日本人のファン達はモブレーに対して、巨人達とは違って自分の手の届く存在だと、親近感を持っているのかも知れませんね。トランペットのフレディ・ハーバードは、技巧バリバリに吹いていて、料理屋で大将が繊細な御造りを出してくれるような感じです。一方モブレーは綺麗な女将さんが、漬物を出してくれる感じかな。