1999年12月19日掲載
Murray,Cheatham,Schoenberg,Lowe
a Modern Portrait of Louis Armstrong
Stash原盤                 1992年4月録音

 不思議な1枚ですね。コ・リーダー に名を連ねている3名ですが、リーダー作に限らずレコーディングとしてはマレイとの初共演になります。僕は全く知らない方々でして、Doc Cheatham は人名辞典によればサッチモに影響されてペットを吹き出した、この録音の時に87歳になるベテランの方です。もう2名のLoren Schoenberg(ts) と、自分のオーケストラを率いて参 加しているAllen Lowe(as) は人名辞典に掲載されてなく、写真から50歳前後と思 われます。そしてこの作品のテーマは、サッチモことルイ・アームストロングです。 これまでのマレイの活動からは、サッチモを想像することは出来ないですよね。スタッシュというアメリカのレーベルに初めてマレイが吹き込んだこの作品ですが、10曲中2曲は、Allen Lowe のユニットだけでの吹き込みになっています。

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 この作品は、アレン・ロウのオーケストラ、Allen Lowe and the Jack Purvis Memorial Orchestraの作品と言っても過言がありませんね。コ・リーダーに 名を連ねているマレイ,Doc Cheatham, Loren Schoenberg はゲスト参加という形です。 オーケストラに冠されているJack Purvisという方は知らないのですが、ディキシー 関係の方なのでしょうね。8曲はライブ録音で、Katsuhiko Naito がプロデュースしているライブ録音ですが、オーケストラの楽しい、それでいて悲哀がある演奏が印象的 です。ジェリー・ロール・モートン作の“Mamanita”で聴ける、アレンの淋しげなヴォードビリアンの姿が思い浮かぶ演奏が、記憶に残るものになっています。マレイ の演奏としては、“black & blue”でのテナーと、“dream sequence”でのバス・クラ 演奏がフューチャーされていますが、それ以外では目立つところがありません。スタジオ録音でのアレンとピーター・スキン(b)のデュオで聴けるアレンのサックスは、マレイ好みの人には受ける演奏です。マレイとアレンは何らかのつながりがあったのでしょうね。