1999年12月18日掲載
Conrad Herwing      Osteology
Criss Cross原盤         1998年12月録音

 ジャズマンの登竜門的存在になっているのクリスクロスの作品の中から、コンラッド・ハーウィングというトロンボーン奏者の作品を紹介します。考えて見ればトロンボーンのリーダー作品を買ったのは、久しぶりです。この作品には、スティーブ・デイヴィスというトロンボーン奏者も参加していますので、音色の違いも楽しめるでしょう。デイヴィッド・キコスキーというクリスクロスでお馴染みのピアニストと、ジェイムス・ジーナス(b)、ジェフ・ワッツ(d)が参加しています。ハーウィングのオリジナルとスンダード、そしてコルトレーンの曲などが収められていますよ。

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 サイド・マンが実に充実。特にキコスキー とワッツ、ピアノとドラムが良いですね。ジョー・ヘンの“fire”でのキコスキーのソロは謎めいた匂いがあり、引きずり込まれる魅力があります。このソロの後半部はワッツのドラムの音量が上がっていき彼の演奏に酔っていきます。ここでの二人の絡みは魅力的ですな。主役のトロンボーン二人、トランペッターで例えるなら流暢なブラウニー風なのがハーウィング、暖かく語りかけるバード風なのがデイヴィスですね。“devil may care” での二人の戦いは、実にスリリングです。この作品は、次の二点が盛り込まれていれば、 騒がれる作品になったでしょう。一つ目がトロンボーン二人の楽しげな語り合いを少なくし、“devil may care”で聴けるようなバトルを増やすこと。これは特にコルトレーン がジャイアント・ステップスで発表した“syeeda's song flute”で、強く感じました。 もう一つが、バラッド曲を多く収録すること。スタンダードの“you don't know what love is”が素敵な演奏なだけに、バラッドがこれ1曲というのが淋しかったですね。