タル・ファーロウは21歳でギターを始めたそうなのですが、たった8年でレッド・ノーボ(vib)のユニットに参加し、5年間の活動でテクニシャンとして名声を得ました。その後、エディ・コスタ(p,vib)を加えた自身のトリオを率いていたのですが、1950年代末には引退し看板描きの仕事についていました。その後1967年に行なったローカルでの演奏が評判になり、1968年にはニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演し喝采を浴び、一線に戻ったのです。この作品は翌年に吹き込まれたもので、プレスティッジ唯一の作品でして、John Scullyという無名のピアニストが加わったクァルテット作品です。しかし、ジャケの笑顔、カッコイイですよね。
早く弾くだけのギタ リストがジャズ界に登場してもすぐ消えたりしますが、やはり気持が入ってないとダメなんですよね。このタル・ファーロウ、きっと心温かい方なのでしょうね、ホッとする気分になる演奏を聴かせてくれています。テクニックはそれを表現するための、手段なのですよね。“summer time”これに続く“sometime ago”で、彼の暖かさに 触れられますよ。欠点としてはですね、ピアノの音が甲高く録音されていること。ギ ターの暖かい響きに、合っていないんだよな。ヴァン・ゲルの録音だったら、こんな音ではなかったはずですね、残念。