1999年11月2日掲載
Rene Urtreger        Serena
Carlyne原盤       1990年5月録音

 フランスのジャズ界の重鎮ピアニストのルネ・ウルトラジュ、僕は2月2日にここで取上げた作品 で、初めて彼のリーダー作品に触れました。それまでは、死刑台のエレベーターだけでしたから、そこで展開される聴ける落ち着いた感じのピアノが好きになりました。その後今夏に発売されたHUMというユニットの作品を聴き、少し色の違う捻ったような演奏に驚き、 本来の彼のスタイルはどんなもんだろうという疑問を持っていました。そこで購入したのが本作品です。リズム隊のベース以外にですね、弦楽器が5本入っていまして、サックス にはスティーブ・グロスマンが参加しています。この編成ではウルトラジュの本来の姿を 確認するのに適していないでしょうけど、まぁ、楽しみですね。

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 ウルトラジュのピアノをじっくり楽しむなら、ソロ演奏の“bosen et moi...”が用意されています。どことなくクラシックの雰囲気がありますね。グロスマンとの激突がお望みなら“I didn't know what time what is”と “dam that dream”がありますからね。でもグロスマンが少し遠慮している感じですし、 ウルトラジュはグロスマンに盛り上げどころを用意しているのですがね。微笑ましい二人の会話を楽しめます。ストリングが入ったこのアルバムの本質を味わうのでしたら、タイ トル曲ですね。シャンソンの香がするウルトラジュのオリジナル曲なのですが、下手をすればムード音楽のようになってしまう弦入りなのですが、ここではこの曲の持味を活かしています。11分という長い演奏時間のためメンバーの演奏もじっくりと楽しめますね。 でウルトラジュの本来の演奏スタイルなのですが、もっと他の彼の作品を聴きたくなるような柔軟性のあるものなのでしょう。