ブッラク・セイントへの4年ぶりの吹込みになるこの作品、クァルテット編成です。サニー・マレイ(d)とはレコーディングで何度も共演してますが、トニー・オーバーウォーター(b)とは初共演になります。もう一人はピアニストではなくて、パーカッション奏者のカヒル・エルザバーです。エルザバーとマレイはデュオ作品を残していますが、マレイのリーダー・セッションでは初共演になります。ここでは、ashiko drum、earth drum、afrikan drum(スペル、この通りです)などという楽器を、ここでは使って演奏しています。前作がグレイヴスとのデュオですし、この作品も打楽器を重視した編成です。この年のマレイのリーダー作はこれが最後で11枚になるのですが、最後の2枚はパーカッションとの共演作となりました。
トリオ編成に近い形での演奏なのですが、かつての激しいマレイの演奏はここには存在しません。ヒックスとバレルと いうピアニストを通じての活動、オクテットやビッグ・バンドでの活動、その他の様々な活動を通してマレイは演奏スタイルを高めていきました。ロフト・シーンに身を置いていた時期とは違う、若さ溢れる演奏から、円熟味が加わった演奏が聴けます。タイトル曲はデュオ版とクァルテット版の2バージョンが、続けて演奏されています。サニーとのデュオとクァルテットでは、マレイのテナーの音色が違います。豊かなマレイの音色が存分に味わえる作品です。エルザバーの参加は、特別大きな効果をあげたとは言えませんね。