プレスティッジは一時女性ヴォーカル作品を発売しており、エッタ・ジョーンズ、ベティ・ロシェ、バーバラ・リー等の作品と共に、このキャロル・ヴェンチュラもその中の一人です。またこのレーベルはNYでの録音が殆どなのですが、1964年にストックホルムで、1965年にロンドンでそれぞれ数枚のレコーディングを行っています。これはベニー・ゴ ルソンのオーケストラがサポートしたものでした、本作品もストックホルムで吹き込まれました。でもこれはオケだけでして、ヴェンチュラの歌は後にNYで録音されたものなのです。ほとんど無名な彼女の歌声は、どんなものなのでしょうか。
ヴェンチュラはストレートに力強く明るく歌う方ですね。また彼女らしい表現力が発揮される場面が随所の聴かれます。“lazy johny” は子供の頃にだれでも聞いたことがある可愛らしい曲なのですが、可憐な歌い方で楽しま せてくれています。続くバラッド“if ever I would leave you”での重厚な表現力が見事で、前曲と対照的な面を聴かせてます。さらにカルロス・ジョヴィンのボサノヴァの 名曲“meditation”では、力強い歌い方がボサノヴァの雰囲気に妙に合っていますね。 この作品が評価されたのか、翌年にもう1枚作品を彼女は吹き込んだのですが、その後の消息は分からなく引退したのかと思われ、非常に残念です。